R3予備論文 憲法


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~はじめに~

  久しぶりの投稿となりました。本ブログでもテキストのみの再現答案を投稿しますが、Twitterではコメント付きの再現答案をツイートしているので、そちらをご覧いただければと思います。Twitterのアカウント→ @cfsO9CSFhg4vdbn 

~感想~

・70分かかった。人権を二つに分けたが、かなりスカスカの答案になった。推定D。

・集会の自由をどのように書くべきかわからず、時間を食ってしまい結局書けなかった。伝統的PFでもなければ、指定的PFでもないなと思ってしまい、PF論を書けなかった。

・規制②の「自己の営業を宣伝する印刷物を路上で配布することは禁止していない」という問題文の意味が終始よくわからなかった。そのため、第2はぐちゃぐちゃかも。

~再現答案~

第1 特別規制区域内で広告物を新たに提示することを禁止している点(以下「規制①」という。)について

   規制①は、特別規制区域内で広告物を新たに提示する自由を侵害し違憲ではないか。

1 まず、上記自由は、自己の意見等を示した広告物を当該区域内で表現するという性質を有しているから、21条1項によって保障される。

2 次に、規制①は、当該区域内で広告物を提示することを禁止するものであるため、上記自由に対する制約がある。

3 もっとも、かかる自由も絶対無制約ではなく、公共の福祉(12条後段、13条後段)による制約を受ける。

⑴ 規制①は、「特別規制区域の歴史的な環境を向上させるものと認められる」として許可を与える場合には、広告物を提示することができるとするとしているところ、かかる文言が抽象的であるため、明確性の原則に反しないか。

そもそも、文言が漠然不明確の場合には、表現をする者に対して萎縮的効果を及ぼすことになるので、かかる場合には明確性の原則に反する。

本件の上記文言に当たるかどうかは、当該広告物が伝えようとしているテーマ、当該広告物の形状や色などを踏まえて総合的に判断されるものであるから、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる程度に具体的といえ、明確性の原則に反しない。

⑵ 上記自由は、広告物の提示を通して、自己の人格を発展させるという自己実現の価値や民主政の過程に資するという自己統治の価値を有する権利であるから、民主主義社会において、重要な権利である。

  規制態様について、たしかに、規制①は絶対的に当該区域内に広告物を提示することを禁止しているわけではなく、市長が許可を与えた場合には、それを提示することができるから、規制態様は強度とは言えないとも思える。しかし、規制①は、原則、広告物を提示することを禁止しており、提示することができるのは例外的な場面にすぎないことから、規制態様は強度といえる。

  そこで、厳格な基準を採用し、①目的がやむにやまれぬものであり、②手段が目的との関係で必要不可欠、必要最小限度といえる場合に、上記制約が正当化される。

4 本件について以下検討する。

⑴ 規制①の目的は、C地区の歴史的な環境を維持し向上させるという点にある。A県B市の中心部には、江戸時代に宿場町として栄え現在もその趣を濃厚に残しているC地区があり、B市の住民DらはC地区の歴史的な環境を維持し向上させるための運動を続けてきており、その結果、C地区の看板等の7割程度が街並み全体に違和感なく溶け込んだ江戸時代風のものとなっていた。このことから、C地区にとって、歴史的な環境を維持し向上させることは、その住民の個人の尊厳(13条参照)に大きく資するといえ、上記制約はやむにやまれぬものといえる。

⑵ C地区の歴史・伝統とは無関係の広告物が提示されると、C地区の看板等の7割程度が違和感なく溶け込んだ江戸時代風の街並みが、割合的に害されるといえ、規制①はそのような広告物を禁止するものであるから、適合性があり、手段が必要不可欠といえる。

  前述のように広告物の提示の禁止を原則とするのではなく、広告物の提示を禁止する場合を例外的にするという代替手段が存在したにもかかわらず、かかる手段を採らなかったということから、必要性がない。

  また、前述のとおり、規制①は原則として、広告物の提示を禁止しており、提示する場面が限られ、罰則も存在する上、市長の許可にも恣意が働くおそれを否定できないから、C地区の歴史的な環境の維持向上という得られる利益より、失われる利益の方が大きいといえ、相当性もない。そのため、手段が必要最小限度とはいえない。

⑶ よって、上記制約は正当化されない。

5 以上より、規制①は、21条1項に反し、違憲である。

第2 特別規制区域内の路上での印刷物の配布を禁止している点(以下「規制②」という。)について

 規制②は、特別区域内の路上で印刷物を配布する自由を侵害し、違憲ではないか。

1 まず、上記自由も、表現としての性質を有するので、同項によって保障される。

2 次に、制約について、たしかに、規制②は、当該区域内の店舗の関係者が自己の営業を宣伝する印刷物を路上で配布することは禁止していないから、上記自由に対して、制約がないとも思える。しかし、少なくとも、自己の営業を宣伝しない印刷物を配布する当該区域内の店舗の関係者や、当該区域外の者は、規制②によって、印刷物を配布することができないから、上記自由に対する制約がある。

3 もっとも、上記自由も絶対無制約ではなく、公共の福祉による制約を受ける。

  上記自由は、前述のとおり、自己実現の価値、自己統治の価値を有する重要な権利である。

  当該区域内の店舗の関係者が自己の営業を宣伝する印刷物を路上で配布することは禁止されていないが、前述のとおり、それ以外の者は全面的に印刷物を配布することを禁止されており、これを配布することができる例外的な場合すら損しないから、規制態様は強度といえる。

  そこで、前述の基準により判断する。

4 本件について以下検討する。

⑴ 規制②の目的は、前述のとおりであり、規制②はやむにやまれぬものである。

⑵ 適合性について、たしかに、C地区の整備が進み多くの観光客が訪れるようになると、観光客を目当てにして、C地区の歴史・伝統とは無関係の各種のビラが路上で頻繁に配布されるようになり、C地区の歴史的な環境が損なわれかねないといえるので、それらの印刷物の配布を防止する規制②は適合性があるとも思える。しかし、印刷物を街に掲示するのとは異なり、特別規制区域内の店舗の関係者が自己の営業を宣伝する印刷物を含め、一般に路上で印刷物を配ることは、何らC地区の歴史的な環境を害するとはいえない。そのため、規制②は適合性がなく、必要不可欠とはいえない。

  また、規制②も罰則があり、全面的に禁止されていることに鑑みれば、上記自由である失われる利益が大きく、必要最小限度ともいえない。

⑶ よって、上記制約は正当化されない。

5 以上より、規制②は、同項に反し、違憲である。