R3予備論文 民事実務基礎科目


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民事実務基礎科目

~感想~

・85分かかった。民事単体で推定B、C

・問題解いているときにつまずくことはなかったので、受けた直後はA答案書けたなと思ったが、分析をしてからダメダメだなと感じた。

・要件事実の仕上がりが甘いということが露呈した。

~再現答案~

第1 設問1

1 ⑴について

賃貸借契約に基づく賃料請求権

2 ⑵について

被告は、原告に対し、55万円支払え。

3 ⑶について

① Xは、令和2年6月15日、Yとの間で、甲土地について、賃料を月額10万円で、本件賃貸借契約を締結した。

② Xは、Yに対し、①の契約に基づいて、甲土地を引き渡した。

③ 同年12月31日が到来した。

4 ⑷について

⑴ ⅰについて

ア 結論

抗弁として扱うべきである。

イ 理由

抗弁とは、請求原因と両立する、請求原因の法律効果の発生を障害、消滅、阻止するものであって、自己に有利な法律効果の発生を求める者が証明責任を負っている事実の主張をいう。本件の主張は、弁済の抗弁であり、前述の請求原因と両立するものであって、請求原因の法律効果の発生を消滅させる効果を有し、Yが立証責任を負っている事実の主張である。そのため、Yが主張すべき主張として、Yの抗弁となる。

⑵ ⅱについて

  本件の主張は、Yが抗弁として主張すべきものであり、Xにとって不利な事実を認める旨の主張であるから、先行自白に当たる。

第2 設問2

 後者の方法は、P(X)が債権者代位訴訟(民法423条以下)を提起しており、2つの訴訟が併存することになるから、訴訟経済や応訴負担等の観点から煩雑であり迂遠である。

 もっとも、前者の方法は、前述の賃料債権を被保全債権として、YのAに対する50万円の売掛債権に仮差押えの申立て(民事保全法(以下「民保法」という。)2条、13条1項、20条1項)をするものである。かかる手段によって、弁済禁止効(50条1項、5項、民事執行法(以下「民執法」という。)145条1項、民法481条1項)と処分禁止効が生じるので、Pは前者の方法を採ったと考えられる。

第3 設問3

1 ⑴について

⑴ ⅰについて

  譲受債権の発生原因事実

  譲受債権の取得原因事実

  債務者による承諾又は債務者に対する通知するまで譲受人を債権者として認めない旨の権利主張

⑵ ⅱについて

  ⒝に関する抗弁は、債務者対抗要件の抗弁(467条1項)であり、請求原因の法律効果の発生を阻止するものであるから、Qは「Xからの請求を拒むことができる」と回答した。

2 ⑵について

  敷金返還請求権は賃貸借が終了し、賃貸物を明渡ししたときに発生する条件付権利(622条の2第1項1号)であり、敷金は賃料等と当然に相殺されてしまうから、敷金返還請求権をもって相殺を主張することは主張自体失当である。

第4 設問4

 本件では、本件賃貸借契約を締結するに当たって、本件契約書を作成しているが、本件契約書は、意思表示をその文書によってされている文書である処分証書であり、本件契約書の形式的証拠力(文書の成立の真正)が認められれば、本件賃貸借契約締結の直接証拠として、実質的証拠力を特段の事情がない限り、問題とする余地がないため、Qは本件契約書の成立の真正について反証する必要がある。本件契約書にはYの印章による印影があるところ、本件契約書の成立の真正についての反証をまず検討する。

1 我が国では、通常印章は慎重に管理されており、第三者が容易に押印することができないという経験則がある。そこで、本人の印章による印影がある場合には、本人の意思に基づく押印であることが事実上推定され、民事訴訟法228条4項の推定と併せれば、文書の成立の真正が推定される(二段の推定)。

  本件で、Qは「Y名下の印影がYの印章によることは認めるが、Xが盗用した。」と主張していることから、一段目の推定について争っているといえる。本件契約書に押印してある印章による印影は、三文判でなされているところ、三文判は誰でも容易に入手することができ、X自身もYの三文判を調達して本件契約書に押印したといえる。また、Xが印鑑を調達していなかったとしても、Yとその妻がY宅を留守にしているときに、Xが居間の引き出しに保管していた印鑑を取り出して、Xが勝手に本件契約書に押印したといえる。そうだとすれば、第三者が容易に押印することができないという経験則が妥当せず、Yの意思に基づく押印が認められない。

  よって、本件契約書の成立の真正が認められない。

2 本件契約書の成立の真正が認められるとしても、以下の通り、特段の事情があるため、本件賃貸借契約を締結した事実が認められない。

  本件では、たしかに、Yは、令和2年7月30日、Xに対し、5万円を支払っているが、これは、甲建物の賃料として支払ったものではなく、Xから別で借りた5万円の借金について返済したものであるから、本件賃貸借契約が締結されていることを前提としているわけではない。また、通常、有償の建物賃貸借契約が締結されているのであれば、賃貸人は、毎月、賃料を請求してくることが考えられるが、令和2年の年末まで、Xから甲建物の賃料の支払を求められていない。そのため、有償である本件賃貸借契約は締結していないということが推認できる。さらに、賃貸借契約を締結したのであれば、契約書を作成し、敷金を差し入れるのが通常だが、XY間で甲建物の使用についての契約書は作成されていないし、敷金を差し入れたこともないので、本件賃貸借契約が締結されていないことが推認できる。

3 以上より、本件賃貸借契約を締結した事実が認められない。