R3予備論文 刑訴法


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~感想~

・68分かかった。推定C、D

・この問題はぱっと見、簡単な問題だなと思ったから、とにかくまわりとの差を意識して、答案構成を行ったが、逆に空回りしすぎて、丁寧に考えすぎてしまった結果、時間がとてもシビアになってしまい、最後の方はスカスカになってしまった。

~再現答案~

第1 設問1

1 ①の逮捕は、無令状(憲法33条、刑事訴訟法(以下法令省略)199条1項本文)として行われているが、準現行犯逮捕(212条2項、213条)として適法か。

⑴ まず、甲が本件事件の被害品と特徴の一致するバッグを所持していたことから、Pは、甲らに対し、「I署の者ですが、話を聞きたいので、ちょっといいですか。」と声をかけたところ、甲らはいきなり逃げ出したことから、「誰何されて逃走しようとするとき」に当たる。

⑵ 次に、「明らか」とは、誤認逮捕を回避すべく、犯罪と犯人が明白であることを要する。

  本件についてみると、本件事件の犯行約20分後に、Pらが、Vから、犯人らの特徴と奪われたバッグの特徴を聞き出した上、Pらは、令和2年10月2日午後2時1分頃に犯人らと特徴の一致する2名の男が走り去っていき、そのうち1名が被害品と特徴の一致するバッグを所持していた様子をマンションの出入り口の防犯カメラ画像で確認した。そして、Pらは、その約1時間半後、V方から直線距離約5キロメートル離れた路上で、犯人らと特徴の一致する甲及びもう1名の男を発見し、甲が被害品と特徴の一致するバッグを持っていたことも確認している。そうだとすれば、短時間で、かつ、比較的近接した距離で上記の特徴と全く一致する者が犯人ではないことは経験則上考えにくいから、犯罪と犯人が明白といえ、「明らか」に当たる。

⑶ そして、「罪が行い終つてから間がない」とは、時間的場所的近接性をいうところ、Pらが甲を逮捕したのは、犯罪から約2時間も経過しており、逮捕場所もV宅から直線距離で約5キロメートルも離れていたことから、時間的場所的に近接していたとはいえず、「罪が終つてから間がない」に当たらない。

2 以上より、①の逮捕は、違法である。

第2 設問2

1 ②の措置はRによる接見指定(39条1項)であるが、②の措置は「捜査のため必要があるとき」(同条3項本文)といえるか。その意義が問題となる。

⑴ 接見交通権は弁護人依頼権(憲法34条前段)に由来する重要な権利であり、かかる権利を制約する場合は、限定的に解するべきである。

  そこで、「捜査のため必要があるとき」とは、捜査の中断による支障が顕著な場合をいうと考える。

⑵ 本件についてみると、弁解録取手続終了後、Rは、直ちに甲にナイフの投棄場所を案内させて、ナイフの発見、押収及び甲を立会人としたその場所の実況見分を実施しようと考え、捜査員や車両の手配をした。そうしたところ、S弁護士が接見申立てをしてきたが、接見を終えてからナイフの投棄場所へ出発したのでは、現場に到着する頃には辺りが暗くなることが見込まれており、甲以外の犯人が未だ逮捕されていないという事情も鑑みると、暗くなった後にはナイフという小さいものを探すのが困難であるし、その間にナイフをその犯人に回収されてしまうことが考えられる。そうだとすれば、接見を指定して、直ちに投棄場所に行ってナイフを発見、押収する捜査の必要性が高いといえる。

⑶ よって、②の措置は「捜査のため必要があるとき」に当たる。

2 もっとも、本件の接見は初回接見であり、②の措置は、「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するもの」(39条3項ただし書)として、違法とならないか。

⑴ 初回接見は、弁護人の選任を目的としており、弁護人の助言を得るための最初の機会であり、弁護人依頼権の保障の出発点をなすものであるため、これを速やかに行うことは被疑者の防禦の準備のため特に重要である。

  そこで、ⓐ捜査機関は弁護人と協議をし、ⓑ即時又は近接した時点での接見を認めても、接見の時間を指定すれば、捜査に顕著な支障が出るのを避けることができるか検討し、これが可能な場合には、特段の事情がない限り、即時又は近接した時点でも接見を認めるべきであり、初回接見を遅らせることは、「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するもの」に当たると考える。

⑵ 本件で、Rは、Sに対し、今から甲に案内させた上で実況見分を実施する予定があるため接見は午後8時以降にしてほしい旨述べた。これに対し、Sは、本日中だと同日午後5時30分からの30分間以外には接見の時間が取れず、翌日だと午前9時から接見の時間が取れるが、何とか本日中に接見したい旨述べた。Rは、引き続きSと協議を行うも、両者の意見は折り合わず、最終的にRは、Sの要望を全く受け入れることなく、一方的に②の措置を行った。そうだとすれば、捜査機関は弁護人と協議をしたとはいえない(ⓐ)。

  また、捜査要員を増員し、ナイフを捨てた場所のおおよそを甲から聞き出して、その周辺を立ち入り禁止にすれば、もう一人の犯人による証拠隠滅ができなくなるから、捜査による支障を避けることが可能であったといえ、特段の事情もない(ⓑ)。

⑶ よって、②の措置は「被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するもの」に当たる。

3 以上より、②の措置は、違法である。