R3予備論文 民訴法


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~感想~

・68分かかった。推定C。

・共同訴訟参加はかなり面くらった。伊藤塾生なら少なくともそうだと思う。要件充足ゲーとはいえ、検討したことがなかったので、書いているときは本当に怖かった。

・設問1⑵について、権利主張参加は両立するからおかしいと思った。詐害防止参加は論証自体用意していたし、現場でも思いついたが、過去問にないし、今まで書いたことがないし、95%出ないと聞いていたことから、まさか違うだろと思って書かなかった。というより、怖くて書けなかった。また、明示的な詐害的な事情があったわけでもないと思ったから、まわりの受験生を意識して書かなかった。

・設問2もよくわからなかった。Yへの既判力の話は特に分からない。すでに残り時間も少なかったので、かなり雑な論述になってしまっている。三段論法なんて程遠い。

~再現答案~

第1 設問1

1 ⑴について

  Yが本件訴訟に共同訴訟参加(民事訴訟法(以下法令省略)52条)をすることができるためには、①Yが本件訴訟の当事者適格を有しており、②Yが本件訴訟の判決効の及ぶ地位にあることを要する。

⑴ ①について

ア 当事者適格とは、特定の権利又は法律関係について、当事者として訴訟を追行し、本案判決を求め得る資格をいうところ、その判断に当たっては、実体法上の帰属態様を基準すべきである。

イ 本件についてみると、本件訴訟で仮にXの主張が認められ、Xが勝訴した場合、本件不動産についてYが単独所有であることが確定し、Yに本件不動産の全部の所有権移転登記がなされる。また、Yが本件訴訟に参加して、本件貸付債権の弁済を主張し、それが認められた場合、Xは債権者代位訴訟(民法423条以下)たる本件訴訟の当事者適格を失う関係にある。そうだとすれば、Yは本件訴訟の実体法上の帰属態様について利害関係を有するといえ、上記資格があるといえる。

ウ したがって、Yに本件訴訟の当事者適格が認められる。

⑵ ②について

  本件訴訟は、前述のとおり、債権者代位訴訟であり、Xは、Yのために、本件訴訟を提起しているから、XはYの法定訴訟担当である。そうだとすれば、Yの手続保障は代替的に保障されているといえ、訴訟の勝敗を問わず、Yに確定判決の判断内容の後訴での通用力たる既判力(115条1項2号)が生じる(無条件肯定説)。そのため、Yは本件訴訟の判決効の及ぶ地位にあるといえる。

⑶ よって、Yは本件訴訟に共同訴訟参加することができる。

2 ⑵について

  Yは、Xに対する本件貸付債権の不存在確認訴訟を提起して、本件訴訟に片面的独立当事者参加(47条)することができるか。

⑴ まず、本件訴訟において、上記不存在確認訴訟を提起することは二重起訴禁止(142条)に反しないか。同条の趣旨は、被告の応訴の煩、訴訟不経済、矛盾判決の危険の防止をいい、当事者及び訴訟物が同一の場合に、同条に反するといえる。本件では、XとYとで当事者が同一である上、上記訴訟は、給付訴訟と反対形相の関係にあり、XがYに対して提起する本件貸付債権の給付訴訟と訴訟物が同一である。そのため、同条に反するとも思えるが、47条の趣旨は、三者間で対立・牽制し合う訴訟を矛盾なく解決する点にあるから、142条の趣旨に反せず、同条に反しない。

⑵ 次に、Yは民法423条の5により、本件訴訟の当事者適格を有する。

⑶ 本件で、Yは権利主張参加をしており、47条の上記趣旨から、請求の趣旨レベルで非両立の関係があれば、独立当事者参加し得るところ、Yは、Zに対しては請求を定立していないから、この点については問題がない。しかし、Yは、Xに対し、本件貸付債権の不存在確認訴訟を提起しているところ、前述のとおり、訴訟物が同一である上、請求の趣旨においても、同一であるといえるから、非両立の関係にあるとはいえない。

⑷ よって、Yは、本件訴訟に独立当事者参加することはできない。

第2 設問2

1 本件判決の効力である既判力がAに及ぶのではないか。既判力の主観的範囲が問題となる。

⑴ 既判力の正当化根拠は手続保障に基づく自己責任であるから、「当事者」(115条1項1号)のみにしか及ばないのが原則である。

⑵ よって、Aには本件判決の効力である既判力が及ばないとも思える。

2 もっとも、本件では、Aと同様にYの債権者であるXが本件訴訟を追行しているから、「他人のために原告…となった場合」に当たり、Aに本件判決の効力が及ぶのではないか。

Yは訴訟告知(53条1項)を受けたので、補助参加(42条)の利益を有するYには本件判決の既判力(53条4項、46条柱書 参加的効力)が及ぶが、Yは、本件訴訟に参加しておらず、Yは実際に本件訴訟の訴訟追行をしているわけではない。そのため、利害対立がある他の債権者の訴訟追行だけでは、上記正当化根拠である手続保障が充足されているとはいえず、Xは「他人のために原告…となった場合」に当たらない。

また、Aは、Xを選定しているわけではないため、XはAの任意的訴訟担当であるともいえない(30条)。さらに、本件訴訟は、一般債権者であるAにとって、事実上の利害関係しか有さず、法定訴訟担当にもならない。

3 以上より、本件判決の効力はAに及ばない。