R3予備論文 行政法


スポンサードリンク
 

~感想~

・70分かかった。推定D

・とにかく問いに答えて、三段論法を徹底するように心がけた。

・設問1は、短すぎてこれでいいのかと思ったけど、問題文の事情を使えるのは、設問2なので、設問2で勝負した。しかし、分析会を見る限り、設問1は論点落としをしている。取消しの対象を間違えているし、設問1は点数がほとんど入っていないだろう。

・最後は、時間がなくかなり雑になってしまったので、そこが心配。

・反論をどう書くか苦戦した。

~再現答案~

第1 設問1

1 本件条件に不満を持つAは、本件条件を違法、無効にするため、取消訴訟行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条2項)を提起すべきである。

2 本件条件は、本件許可をするに当たって、一定の条件を付するものであるから、その法的性質は、附款である。

3 取消判決によって、本件条件が取り消せられれば、第三者効(32条1項)、拘束力(33条1項)が生じる。そのため、考えられる取消しの対象については、①本件条件自体がB県知事の裁量の逸脱濫用であるという点と②本件条件を付することが信義則に反するという点が考えられる。

第2 設問2

1 ①についての違法性

  B県知事が本件条件を付することは、B県知事の裁量権を逸脱濫用しているといえ、違法とならないか。

⑴ 本件で、B県知事は本件許可をするに当たって、本件条件を付しているが、前提として附款を付することが許されるか。

ア 根拠法令が附款を付することを許容している場合には、附款を付することができると考える。

イ 本件許可は根拠法令である法14条の4第11項に基づいてなされているところ、同項は「生活環境の保全上必要な条件を付することができる。」と規定しており、「生活環境の保全上必要な」範囲内で条件である附款を付することを許容している。

⑵ア 行政庁の判断の結果及び過程が、重要な事実の基礎を欠くか、社会観念上著しく妥当を欠く場合には、裁量権の逸脱濫用が認められると考える。

イ 本件についてみると、積替え・保管施設への搬入、当該施設からの搬出を自ら行わなければならない旨定めた本件条件は比例原則に反し、考慮不尽であると主張する。これに対して、B県は、他者搬入・搬出をしていた別の収集運搬業者の積替え・保管施設において、保管量の増加と保管期間の長期化によりPCB廃棄物等の飛散、流出、異物混入などの不適正事例が発覚し、社会問題化していたことがあったので、かかる問題を事前に防止するために付した本件条件は、当該施設への搬入自体を禁じているわけではないという点も踏まえ、比例原則に反しないと反論することが考えられる。この点について、PCB廃棄物の収集運搬業においては、積替え・保管が認められると、事業者から収集したPCB廃棄物が収納された容器を運搬車から一度下ろし、一時的に積替え・保管施設内で保管し、それを集積した後、まとめて別の大型運搬車で処理施設まで運搬することができるので効率的な輸送が可能となる。しかし、Aは、積替え・保管ができないため、事業者から排出されたPCBの収集量が少なく運搬車の積載量に空きがあっても、遠隔地にある処理施設までそのまま運搬しなければならず、輸送効率を上げるため、Aにとっては他者搬入・搬出を行うことが必要不可欠だった。それにもかかわらず、本件条件はかかる他者搬入・搬出を一切禁止するものであるため、Aにとっては著しい負担であり、さらに、本件申請に係る書類には、他者搬入・搬出に関する記載は必要とされていなかったことから、本件条件はAに対して不意打ちを与えるといえる。そのため、本件条件は比例原則に反する。

  また、B県は上記社会問題を踏まえた上で、本件条件を付しているから考慮不尽とはならないと反論することが考えられる。この点について、近隣の県では本件条件のような内容の条件は付されていないのにもかかわらず、本件条件が本件許可に付されている点で、他県の事情を全く考慮していない。そのため、本件条件は考慮不尽である。

⑶ よって、本件条件を付することは、B県知事の裁量権を逸脱濫用しているといえ、違法となる。

2 ②についての違法性

 B県知事が本件条件を付することは、Aの信頼を裏切り、信義則に反しないか。

⑴ ⓐ行政が特定人に個別具体的な勧誘を行い、ⓑ事業が長期の継続を前提として初めて投下資本に相応する効果を生じるものであり、ⓒ運用を変更することにより社会通念上看過できない積極的損害を被る場合に、ⓓ代替措置を講ずることなく、ⓕやむを得ない事由によるものでない限り、行政の運用変更は信義則に反し、違法であると考える。

⑵ 本件についてみると、まず、Aは本件申請に当たってB県知事が具体的な勧誘を行ったと主張する。これに対し、B県は、他者搬入・搬出を行ってもよいという具体的な勧誘をしていないと反論することが考えられる。しかし、Aは、B県担当者に対し、積替え・保管施設の建設に関し、他者搬入・搬出も目的としていることを明確に伝えた上でB県の関係する要網等に従って複数回にわたり事前協議を行ったということから、明確に他者搬入・搬出を禁止した旨を表示していない。また、本件申請に係る書類には、他者搬入・搬出に関する記載は必要とされていなかった。そのため、このような事実があれば、通常、他者搬入・搬出できると信じても、やむを得ないし、個別具体的な勧誘を行ったと同視できる(ⓐ)。次に、他者搬入・搬出は長期の継続を前提として初めて投下資本に相応する効果が生じるものであり(ⓑ)、Aは他者搬入・搬出を行うため、B県内のAの所有地に高額な費用を投じ、相当規模の積替え・保管施設を設置したのだから、他者搬入・搬出ができないと、Aは社会通念上看過できない積極的損害を生じるといえる(ⓒ)。また、B県は、代替措置を講じておらず(ⓓ)、やむを得ない事由もない(ⓕ)。

⑶ よって、B県知事が本件条件を付することは、信義則に反し、違法である。

3 以上より、Aは、取消訴訟において、本件条件の違法性について上記のような主張をすべきである。